【Quiet Letters #4】朝になっても、夜のまま

逃げ道のない光


カーテンの縁が
ガムテープで留められている。

左端。右端。下。
光の逃げ道がない。

プシュッという音だけが、部屋に残る。

洗濯機の上には
湿って固まったタオルが置かれたまま。

声は、輪郭を失う


午前8時15分。
坂道を上る。

ビニール袋が指に食い込み
白い跡を残す。

黄色い帽子が
三つ、四つ、坂道を下っていく。

声は、遠ざかる前に輪郭を失う。

深く被ったフードの影。
すれ違う気配。


カーテンの隙間から
細い光が一本だけ漏れている。

その中で、埃がゆっくり回り続ける。

ウィーンと連続音が
壁の向こうから伝わってくる。

レコーダーの赤いランプが
点滅している。
録画予約失敗。

ディスクの空き容量がない。
リモコンは、同じ場所から動かない。


レジ袋の中から
プラスチック容器の蓋が現れる。

「特盛カツ丼」の文字
500mlの缶チューハイが三本
テーブルに並ぶ。

テーブルの上には
エナジードリンクの空き缶と
赤い丸がいくつか並んだ
A4のシフト表

同じ場所から動かない

画面が光る。振動だけが続く。
伏せたスマホが、静かになる。

割り箸が割れる音。
三口分だけ、減っている。

飲みかけの缶チューハイ。
水滴が、テーブルに輪を描く。

「おはようございます。
今日も一日……」
町内放送の声が、途中で途切れる。

午前8時45分。
デジタルの数字が、枕元で光っている。

アイマスクの上から、腕の重み。

カーテンの隙間から
細い光が床の上で傾き続ける。


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