このドラマを観ていると
なぜかお腹が空いてくる。
さっき食べたはずなのに
空腹でもないのに
ただ、温かいものを
ゆっくり口に運びたくなる。
『イルタ・スキャンダル』は
そんな感覚から始まるドラマだった。
箸を止める、その「間」
最初は一口
次は、もう一口
箸を持つ手が、少しだけ止まる。
湯気を見ている時間が
ほんの一拍、長い。
噛む速さが
だんだんゆっくりになっていく。
誰かが作ったごはんを
ちゃんと味わっている人の時間。
その「間」が、胸に刺さる。
食べるだけで、人は人に戻る

このドラマの面白さは
成功でも恋愛でもない。
「食べること」で
人がほどけていくところにある。
誰かと同じ食卓を囲む。
湯気の立つ料理を前にする。
噛む。飲み込む。息をつく。
それだけで
張り詰めていたものが、すこし緩む。
言葉はなくても
身体が安心していくのがわかる。
説明のない「安心」が、いちばん深く残る
このドラマには、説明がほとんどない。
でも、伝わってくる。
箸を置くときの手の角度。
味を確かめるときの視線。
飲み込んだあとの、わずかな沈黙。
ああ、この人
やっと安心しているんだなと
こちらの呼吸まで
ゆっくりになっていく。
そんな余韻が、このドラマにはある。
無性にごはんが食べたくなった。
観終わったあと
気づいたら台所に立っていた。
冷蔵庫にあった昨日の味噌汁を温めた。
特別な料理じゃなくていい。
ただ、温かいものを
ゆっくり食べたくなった。
誰かと一緒でもいいし、
ひとりでもいい。
ちゃんと噛んで
ちゃんと味わう時間が
欲しくなった。
そんな余韻を残すドラマだった。
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